検索結果詳細
『婦系図』 青空文庫
とさも羨しそうに小芳が云うと、お妙はフト打仰向いて、目を大きくして何か考えるようだったが、もう一つの袂から緋天鵝絨《ひびろうど》の小さな蝦蟇口《がまぐち》を可愛らしく引出して、
「小母さん、これを上げましょう。怒っちゃ可厭よ。沢山《たんと》あると可いけれど、大《おおき》な銀貨(五十銭)が三個《みッつ》だけだわ。
先《せん》の紙入の時は、お紙幣《さつ》が……そうねえ……あの、四円ばかりあったのに、この間落してねえ。」
2864/3954
2865/3954
2866/3954
[Index]