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『婦系図』
青空文庫
と喜ばれたのを嬉しげに、はじめて膝を横にずらして、蒲団にお妙が袖をかけた。
「姉さん、」
と、お蔦は俯向いた小芳を起して、膝突合わせて居直ったが、頬を薄蒼う染《そむ》るまでその半襟を咽喉《のど》に当てて、頤深く熟《じっ》と圧えた、浴衣に映る紫栄えて、血を吐く胸の美しさよ。
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