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『天守物語』
泉鏡花を読む
葛 あの猪苗代のお姫様がお遊びにおいででございますから。
桔梗 お鬱陶しからうと思ひまして。それには、申分の
ござ
いませんお日和で
ござ
いますし、遠山はもう、もみぢいたしましたから。
女郎花 矢狭間《やざま》も、物見も、お目触りな、泥や、鉄の、重くるしい、外囲《そとがこひ》は、一寸取払つておきました。
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