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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

三国岳《みくにだけ》の麓《ふもと》の里に、暮六《くれむ》つの鐘きこゆ。――幕を開く。
萩原晃《はぎわらあきら》この時白髪《しらが》のつくり、鐘楼《しょうろう》の上に立ちて夕陽《せきよう》を望みつつあり。鐘楼は柱に蔦《つた》からまり、高き石段に苔《こけ》蒸し、棟には草生ゆ。晃やがて徐《おもむろ》に段を下りて、清に米を磨《と》ぐお百合《ゆり》の背後に行《ゆ》く。

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