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 『婦系図』 青空文庫

「憚んながらこう見えても、余所行《よそゆ》きの情婦《いろ》があるぜ。待合《まちええ》へ来て見繕いで拵《こしれ》えるような、べらぼうな長生《ながいき》をするもんかい。
 おう、八丁堀のめの字が来たが、の、の、承知か、承知か、と電話を掛けねえ。柳橋の小芳さん許《とこ》だ。柏屋《かしわや》の綱次《つなじ》と云うしいのが、忽然として顕れらあ。

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