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『義血侠血』
青空文庫
渠は茫々たる天を仰ぎて、しばらく悵然《ちょうぜん》たりき。その面上《おもて》にはいうべからざる悲憤の色を見たり。白糸は情に勝《た》えざる声音にて、
「そりゃあ、もうだれしも浮き世ですよ」
「うむ、まあ、浮き世とあきらめておくのだ」
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