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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 とあわれに寂しく、貴女《あなた》の声で聞えました。 
  その声が遠くなります、山の上を、薄綿で包みますように、雲がくかかりますと、音が先へ、颯《さ》あ――とたよりない雨が、海の方へ降って来て、お声は山のうらかけて、遠くなって行きますげな。

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