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 『高野聖』 泉鏡花を読む

(それでは森の中で、大変でございますこと。旅をする人が、飛騨の山では蛭が降るといふのは彼処でござんす。貴僧は抜道を御存じないから正面に蛭の巣をお通りなさいましたのでございますよ。お生命も冥加な位、馬でも牛でも吸ひ殺すのでございますもの。然し疼くやうにお痒いのでござんせうね。)
(唯今では最う痛みますばかりになりました。)
(それでは恁麼ものでこすりましては柔かいお肌が擦剥けませう。)といふと手が綿のやうに障つた。

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