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『春昼』
泉鏡花を読む
些と日数が経つてから、親仁どのは、村方の用達かた/\、東京へ参つた序に芝口の両換店へ寄つて、汚い煙草入から煙草の粉だらけなのを一枚だけ、そつと出して、幾干に買はつしやる、と当つて見ると、いや抓んだ爪の方が黄色いくらゐで
ござ
つたに、正のものとて争はれぬ、七両ならば引替へにと言ふのを、もツと気張つてくれさつせえで、とう/\七両一分に替へたのがはじまり。
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