検索結果詳細


 『高野聖』 泉鏡花を読む

(それでは恁麼ものでこすりましては柔かいお肌が擦剥けませう。)といふと手が綿のやうに障つた。
 それから両方の肩から、背、横腹、臀、さら/\をかけてはさすつてくれる。
 それがさ、骨に通つて冷たいかといふと然うではなかつた。熱い時分ぢやが、理窟をいふと恁うではあるまい、私の血が沸いたせゐか、婦人の温気か、手で洗つてくれる水が可い工合に身に染みる、尤も質の佳い水は柔かぢやさうな。

 307/622 308/622 309/622


  [Index]