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 『歌行燈』 従吾所好

「今晩は。――饂飩六ツ急いでな。」と草履穿きの半纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。
「へい。」と筒抜けの高調子で、亭主帳場へ棒に突立ち、
「お方、そりや早うせぬかい。」

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