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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

萩原晃《はぎわらあきら》この時白髪《しらが》のつくり、鐘楼《しょうろう》の上に立ちて夕陽《せきよう》を望みつつあり。鐘楼は柱に蔦《つた》からまり、高き石段に苔《こけ》蒸し、棟には草生ゆ。晃やがて徐《おもむろ》に段を下りて、清水に米を磨《と》ぐお百合《ゆり》の背後に行《ゆ》く。
晃 水は、しい。いつ見ても……しいな。
百合 ええ。

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