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 『海神別荘』 華・成田屋

公子  (爽(さわやか)に)獄屋ではない、大自由、大自在な領分だ。歎くもの悲しむものは無論の事、僅少の憂(うれい)あり、不平あるものさえ一日も一個(ひとり)たりとも国に置かない。が、貴女には既に心を許して、秘蔵の酒を飲ませた。海の果、陸の終(おわり)、思って行かれない処はない。故郷(ふるさと)ごときはたた一飛(ひととび)、瞬きをする間に行かれる。(愍むごとくしみじみとを視る)が、気の毒です。

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