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 『五大力』 従吾所好

 身体は兎に角、いつか心では、婦の姿を、暗夜〈やみ〉に花あるたよりにして居た。
 が、其の、心も宙に余り便なささうなのを、悟つた様子で、
「些とも、貴方、御心配なさいますやうな、をかしな場所〈ところ〉ではありませんわ。……つい、何時〈いつか〉も此処をお通りなすつたぢやありませんか。」

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