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 『日本橋』 青空文庫

 昔と語り出づるほどでもない、殺された妾の怨恨で、血の流れた床下の土から青々とした竹が生える。筍の(力に非ず。)凄さを何にたとうべき。五位鷺飛んで星移り、当時は何某の家の土蔵になったが、切っても払っても妄執は消失せず、金網戸からまざまざと青竹が見透かさるる。近所で(お竹蔵。)と呼んで恐をなす壁が、町の表。小児も憚るか楽書の痕も無く、朦朧として暗夜にもい。

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