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 『婦系図』 青空文庫

「前《ぜん》から、貴女の御憐愍《ごれんみん》を願おうと思っていたんですけれど、島山さんのと違って、貴女には軽々《かろがろ》しくお目に懸る事も出来ませんし、そうかと云って、打棄《うっちゃ》って置けば、取返しのなりません一大事、どうしようかと存じておりました処へ、実《まこと》に何とも思いがけない、不思議な御光来《おいで》で、殊にそれが慈善会にいらっしゃる途中などは、神仏の引合わせと申しても宜しいのです。
 どうぞ、その、遍《あまね》く御施しになろうという如露のを一雫、一滴で可《よ》うございます、私の方へお配分《すそわけ》なすってくださるわけには参りませんか。

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