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 『海神別荘』 華・成田屋

美女  おお、(身震す)船の沈んだ浦が見える。(飜然(ひらり)と飛ぶ。・・・乱るる紅、炎のごとく、トンと床を下りるや、颯と廻廊を突切(つツき)る。途端に五個の燈籠斉(ひと)しく消ゆ。廻廊暗し。美女、その暗中に消ゆ。舞台の上段のみ、やや明(あかる)く残る。)
公子  おい、その姿見の蔽(おおい)を取れ。陸(くが)を見よう。
女房  困った御婦人です。しかしお可哀相なものでございます。(立つ。舞台暗くなる。――やがて明(あかる)くなる時、花やかに侍女皆あり。)

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