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 『五大力』 従吾所好

 小弥太も引込まれて、振返つた。唯〈と〉見ると、婦の声に色ある状に、突当りの長廊下、灯のない絵襖の黒いやうな中に、青く、色白く、其の飴屋の幻影〈まぼろし〉。
 と同時に、颯と、雨に墨流しの彩して、瀧縞お召も、浅葱の端緒も、目に透通るまで歴然〈あり/\〉と、其の櫛巻の毛筋も、且つ油に艶やかに瞳につた。

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