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 『縁結び』 青空文庫

 と不思議な事には、堂の正面へ向った時、仁右衛門は掛金はないが開けて入るように、と心着けたのに、雨戸は両方へ開いていた。お君は後《のち》に、御母様《おっかさん》がそうしておいたのだ、と言ったが、知らず堂守の思違《おもいちが》いであったろう。
 框《かまち》がすぐに縁《えん》で、取附《とッつ》きがその位牌堂。これには天井《てんじょう》から大きなの戸帳《とばり》が垂《た》れている。その色だけ仄《ほのか》に明くって、板敷《いたじき》は暗かった。

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