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『高野聖』 泉鏡花を読む
「なるほど見た処、衣服を着た時の姿とは違うて肉つきの豊な、ふつくりとした膚。
(先刻小屋へ入つて世話をしましたので、ぬら/\した馬の鼻息が体中へかゝつて気味が悪うござんす。丁度可うございますから私も体を拭きませう、)
と姉弟が内端話をするやうな調子。手をあげて黒髪をおさへながら腋の下を手拭でぐいと拭き、あとを両手で絞りながら立つた姿、唯これ雪のやうなのを恁る霊水で清めた、恁う云ふ女の汗は薄紅になつて流れよう。
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