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 『婦系図』 青空文庫

「私がこれほど願っても、まだ妙子さんを兄さん(英吉)には許してくれないの。今までにもどんなに頼んだか知れないのに、それじゃ貴下、あんまりじゃありませんか。
 去年から口説《くどき》通しなんだわ。貴下がはじめて、静岡《こちら》へ来て、私と知己《ちかづき》になったというのを聞いて、(精一杯御待遇《おもてなし》をなさい。)ッて東京から母さんが手紙でそう云って寄越したのも、酒井さんとの縁談を、貴下に調えて頂きたければこそだもの。

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