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 『婦系図』 青空文庫

 兄さんも、どんなにか妙子さんを好いていると見えて、一体が遊蕩《あそび》過ぎる処へ、今度の事じゃ失望して、自棄《やけ》気味らしいのよ、遣り方が。自分で自分を酒で殺しちゃ、厭じゃありませんか、まあ、」
 と一際低声《こごえ》で、
「ちょいと、いかな事《こッ》ても小待合へなんぞ倒込むんですって。監督《おめつけ》の叔父さんから内々注意があるもんだから、もう疾《とっ》くに兄さんへは家でお金子《かね》を送らない事にして、独立で遣れッて名義だけれども、その実、勘当同様なの。

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