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『薬草取』
青空文庫
この辺《あたり》唯《ただ》なだらかな蒼海原《あおうなばら》、沖へ出たような一面の草を〓《みまわ》しながら、
「や、ものを言っても一つ一つ谺《こだま》に響くぞ、寂《さび》しい処《ところ》へ、能《よ》くお前さん一人で来たね。」
女は乳《ち》の上へ右左、幅広く引掛《ひっか》けた桃色の紐に両手を挟《はさ》んで、花籃《はなかご》を揺直《ゆりなお》し、
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