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『婦系図』
青空文庫
「貴郎のように意地汚《きたな》ではありません。め組は何にも食べやしないのよ。」
「食べやしねえばかりじゃ
ありません
や、時々、このせいで食べられなくなる騒ぎだ。へへへ、」
と帽子を上へ抜上げると、元気に額の皺を伸ばして、がぶりと一口。鶺鴒《せきれい》の尾のごとく、左の人指《ひとさし》をひょいと刎《は》ね、ぐいと首を据えて、ぺろぺろと舌舐《したなめず》る。
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