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『高野聖』
泉鏡花を読む
私は其まゝ目を外らしたが、其一段の婦人の姿が月を浴びて、薄い煙に包まれながら向う岸の〓《しぶき》に濡れて黒い、滑かな大きな石へ蒼味を帯びて透通つて映るやうに見えた。
するとね、夜目で判然とは目に入らなんだが地体何でも洞穴があると見える。ひらひらと、此方からもひら/\と、ものの鳥ほどはあらうといふ大蝙蝠が目を遮つた。
(あれ、不可いよ、お客様があるぢやないかね。)
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