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『五大力』
従吾所好
「もうね、それは情ない病気を患らひ通しで、見る影もないんですよ。」
と背けた顔を俯向けて、眉も蔽ふ、と隠しながら、肩を抱くやうに頬へ片袖、胸で撓〈た〉めた腕のしなひに袖口の指の白さを、幽かに細々と彩る緋
紅
。
片手に提げて男を除けた、傘の紙の蝶々が、ちら/\と、素足を誘うて路を移る。
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