検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

「もうね、それは情ない病気を患らひ通しで、見る影もないんですよ。」
 と背けた顔を俯向けて、眉も蔽ふ、と隠しながら、肩を抱くやうに頬へ片袖、胸で撓〈た〉めた腕のしなひに袖口の指の白さを、幽かに細々と彩る緋
 片手に提げて男を除けた、傘の紙の蝶々が、ちら/\と、素足を誘うて路を移る。

 335/1139 336/1139 337/1139


  [Index]