検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 ト忌々《いみいみ》しいと言えば忌々しい、上框《あがりがまち》に、灯《ともしび》を背中にして、あたかも門火《かどび》を焚いているような――その薄あかりが、格子戸を透して、軒で一度暗くなって、中が絶えて、それから、ぼやけた輪を取って、朦朧と、雨曝《あまざれ》の木目の高い、門の扉《と》にって、蝙蝠《こうもり》の影にもあらず、空を黒雲が行通うか何ぞのように、時々、むらむらと暗くなる……また明《あかる》くなる。

 3425/3954 3426/3954 3427/3954


  [Index]