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 『義血侠血』 青空文庫

「いや、どうも重ね重ね、それでは実に済まん。私もこの報恩《おんがえし》には、おまえさんのために力の及ぶだけのことはしなければならんが、何かお所望《のぞみ》はありませんか」
「だからさ、私の所望はおまえさんの希望が〓《かな》いさえすれば……」
「それはいかん! 自分の所望《のぞみ》を遂げるために恩を受けて、その望みを果たしたで、報恩《おんがえし》になるものではない。それはただ恩に対するところのわが身だけの義務というもので、けっして恩人に対する義務ではない」

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