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 『星あかり』 泉鏡花を読む

 ト枕を竝べ、仰向になり、胸の上に片手を力なく、片手を投出し、足をのばして、口を結んだ顔は、灯の片影になつて、一人すや/\と寐て居るのを、……一目見ると、其は自分、……であつたので、天窓から氷を浴びたやうに筋がしまつた。
 ひたと冷い汗になつて、目を〓《みひら》き、殺されるのであらうと思ひながら、すかして蚊帳の外を見た。が、墓原をさまよつて、乱橋から由比ヶ浜をうろついてにさうになつて帰つて来た自分の姿は、立つて、蚊帳に縋つては居なかつた。

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