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 『婦系図』 青空文庫

 ぼんやり戸口に立っていた小使は、その跣足《はだし》のまま飛んで出た。
 と見れば、貞造の骸《なきがら》の、恩愛に曳《ひ》かれて動くのが、筵に響いて身に染みるように、道子の膝は打震いつつ、幽《かすか》に唱名の声が漏れる。

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