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 『義血侠血』 青空文庫

「おや、まあ、いやにむずかしいのね」
 かく言いつつ人は微笑みぬ。
「いや、理屈を言うわけではないがね、目的を達するのを報恩《おんがえし》といえば、乞食も同然だ。乞食が銭をもらう、それで食っていく、渠らの目的は食うのだ。食っていけるからそれが方々で銭を乞《もら》った報恩《おんがえし》になるとはいわれまい。私は馬方こそするが、まだ乞食はしたくない。もとよりお志は受けたいのは山々だ。どうか、ねえ、受けられるようにして受けさしてください。すれば、私は喜んで受ける。さもなければ、せっかくだけれどお断わり申そう」

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