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 『日本橋』 青空文庫

「お孝、それだけは堪忍しな。」
 つむじ曲りが、娑婆気な、わざと好事な吾妻下駄、霜に寒月の冴ゆる夜の更けて帰る千鳥足には、殊更に音を立てて、カラカラと板を踏む。
 顔の見える時はまだしもである。

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