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『婦系図』
青空文庫
ずッと離れて廊下を戻る。
道子は扉《ドア》に吸込まれた。ト思うと、しめ切らないその扉の透間から、やや背屈《せかが》みをしたらしい、低い処へ横顔を見せて廊下を差覗くと、表階子の欄干《てすり》へ、雪洞を中にして、からみついたようになって、二人附着《くッつ》いて、こなたを見ていた
白
衣が、さらりと消えて、壇に沈む。
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