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『高野聖』 泉鏡花を読む
「優しいなかに強みのある、気軽に見えても何処にか落着のある、馴々しくて犯し易からぬ品の可い、如何なることにもいざとなれば驚くに足らぬといふ身に応のあるといつたやうな風の婦人、恁く嬌瞋を発しては屹度可いことはあるまい、今此の婦人に邪慳にされては木から落ちた猿同然ぢやと、おつかなびつくりで、おづ/\控へて居たが、いや案ずるより産が安い。
(貴僧、嘸をかしかつたでござんせうね、)と自分でも思ひ出したやうに快く微笑みながら、
(為やうがないのでございますよ。)
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