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 『縁結び』 青空文庫

 正面の襖《ふすま》は暗くなった、破れた引手《ひきて》に、襖紙の裂《さ》けたのが、ばさりと動いた。お君は堅《かた》くなって真直に、そなたを見向いて、瞬《またたき》もせぬのである。
「しっかりして、お聞き、恐くはないから、私が居るから、」と謙造は、自分もちょいと本堂の今は煙《けむり》のように見える、き戸帳《とばり》を見かえりながら、

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