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 『婦系図』 青空文庫

 さて母屋の方は、葉越に映る燈《ともしび》にも景気づいて、小さいのが弄ぶ花火の音、松の梢に富士より高く流星も上ったが、今は静《しずか》になった。
 壇の下から音もなく、形のい脊の高いものが、ぬいと廊下へ出た、と思うと、看護婦二人は驚いて退《すさ》った。
 来たのは院長、医学士河野理順である。

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