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 『婦系図』 青空文庫

 とお蔦は振向いて低声《こごえ》で嗜《たしな》め、お源が背後《うしろ》から通るように、身を開きながら、
「聞こえるじゃないか。」
 目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅《あか》くした顔を勝手口から外へ出して路地の中《うち》を目迎える。

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