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『五大力』
従吾所好
「可かアありません!何うも様子が、見忘れては済まない方だけれども、つい思ひ出せません。後生だから、あやまりますから、聞かしてくれませんか、一寸誰方だね。」
「可厭〈いや〉さ、私は、」
「意地の悪い事を言はないで、」と前の薄明りを手繰るやうに一歩二歩〈ひとあしふたあし〉。
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