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 『婦系図』 青空文庫

「院長が入院患者を見舞うのに、ちっとも不思議はありません。」と早瀬は寝ながら平然として云った。
 目も尋常《ただ》ならず、おろおろして、
「両親も知りませんが、主人《あるじ》は酷《ひど》い目に逢わせますのでございますよ。」としめ木にかけられた様に袖を絞って立窘《たちすく》むと、

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