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 『婦系図』 青空文庫

「両親も知りませんが、主人《あるじ》は酷《ひど》い目に逢わせますのでございますよ。」としめ木にかけられた様に袖を絞って立窘《たちすく》むと、
「寝台の下へお隠れなさい。可いから、」
 とむっくと起きた、早瀬は毛布《けっと》を飜《ひるがえ》して、夫人の裾を隠しながら、寝台に屹と身構えたトタンに、

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