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 『婦系図』 青空文庫

「己《おれ》が分るか、分るか。おお酒井だ。分ったか、しっかりしな。」
 酒井俊蔵ただ一人、臨終《いまわ》のお蔦の枕許に、親しくを差寄せた。次の間には……
「ああ、皆《みんな》居るとも。妙も居るよ。大勢居るから気を丈夫に持て! ただ早瀬が見えん、残念だろう、己も残念だ。病気で入院をしていると云うから、致方《いたしかた》が無い。断念《あきら》めなよ。」

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