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 『婦系図』 青空文庫

 とお蔦も真顔で訝《いぶか》った。
「あれでなくって、兇状持は、誰なもんかね、」
「ほほほ、貴郎《あなた》、真面目で聞くことはないんだわ。め組の云う兇状持なら、あの令夫人《おくさん》がああ見えて、内々大福餅がお好きだぐらいなもんですよ。お彼岸にお萩餅《はぎ》を拵《こしら》えたって、自分の女房《かみさん》を敵《かたき》のように云う人だもの。ねえ、そうだろう。めの字、何か甘いものが好《すき》なんだろう。」

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