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 『海神別荘』 華・成田屋

美女  一歩(ひとあし)に花が降り、二歩(ふたあし)には微妙の薫、いま三あしめに、ひとりでに、楽しい音楽の聞こえます。ここは極楽でございますか。
公子  ははは、そんな処と一所にされて堪るものか。おい、女の行く極楽に男は居らんぞ。
(鎧の結目(むすびめ)を解きかけて、音楽につれて徐ろに、やや、ななめに立ちつつ、その竜の爪を美女の背にかく。雪の振袖、紫の鱗の端に仄に見ゆ)

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