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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
「御推量でござります、そこじゃ、お前様。見えて半月とも経ちませぬに、豪《えら》い騒動が起ったのは、喜太郎様の嫁御がまた臨月じゃ。
御本家に飼殺しの親爺仁右衛門、渾名も苦虫、むずかしい顔をして、御隠居殿へ出向いて、まじりまじり、煙草を捻って言うことには、(ハイ、これ、昔から言うことだ。二人一斉《いっとき》に産をしては、後か、前《さき》か、いずれ一人、相孕《あいばらみ》の怪我がござるで、分別のうては成りませぬ、)との。
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