検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 ぱたぱたと、我ながら慌《あわただ》しく跫音立てて、一文字に駈けつけたが、室へ入口で、思わず釘附にされたようになった。
 バサリと音して、一握《ひとにぎり》の綿が舞うように、むくむくと渦《うずま》くばかり、枕許の棚をほとんど転《ころが》って飛ぶのは、大きな、色のい蛾《ひとりむし》で。

 3688/3954 3689/3954 3690/3954


  [Index]