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 『国貞えがく』 青空文庫

 この二股坂と言うのは、山奥で、可怪《あやし》い伝説が少くない。それを越すと隣国への近路ながら、人界との境を隔つ、自然のお関所のように土地の人は思うのである。
 この辺《あたり》からは、峰の松に遮られるから、その姿は見えぬ。最《も》っと乾の位置で、町端《まちはずれ》の方へ退《さが》ると、近山《ちかやま》の背後《うしろ》にがありそうな雲を隔てて、山の形が歴然《ありあり》と見える。……

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