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『婦系図』 青空文庫
で、新《あたらし》い瓶がもう来ていたが、この分は平気で服した。
その日燈《あかり》の点《つ》くちと前に、早瀬は帯を緊直《しめなお》して、看護婦を呼んで、
「お世話になりました。お庇様《かげさま》でどうやら助りました。もう退院をしまして宜しいそうで、後の保養は、河野さんの皆さんがいらっしゃる、清水港の方へ来てしてはどうか、と云って下さいますから、参ろうかと思います。何にしても一旦塾の方へ引取りますが、種々《いろいろ》用がありますから、人を遣って、内の小使をお呼び下さい。それから、お呼立て申して済みませんが、少々お目に懸りたい事がございます。ちょっとこの室までお運びを願いたい、と河野さんに。……いや、院長さんじゃありません、母屋にいらっしゃる英臣さん。」
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