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 『歌行燈』 従吾所好

「飛んだ事をおつしやりませ、田舎でも、これでも、長年年期を入れました杉山流のものでござります。鳩尾に鍼をお打たせになりましても、決して間違ひのあるやうなものではござりませぬ。」と呆れたやうに、按摩の剥く目は蒼かりけり。
「うまい、まづいを言ふのぢやない。何時の幾日〈いくか〉にも何時〈なんどき〉にも、洒落にもな、生れてから未だ一度も按摩さんの味を知らないんだよ。」
「まあ、あんなにあんた、こがれなさつた癖に。」

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