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『婦系図』 青空文庫
と出掛けた白衣《びゃくえ》の、腰の肥《ふと》いのを呼留めて、
「御書見中ででもありましたら、御都合に因って、こちらから参りましても可《よ》うございますと。」
馴染んでいるから、黙って頷いて室を出て、表階子の方へ跫音がして、それぎり忙しい夕暮の蝉の声。どこかの室で、新聞を朗読するのが聞えたが、ものの五分間経ったのではなかった。二階もまだ下り切るまいと思うのに、看護婦が、ばたばた忙《せわ》しく引返して、発奮《はずみ》に突込むように顔を出して、
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