検索結果詳細
『婦系図』
青空文庫
「御書見中ででもありましたら、御都合に因って、こちらから参りましても可《よ》うございますと。」
馴染んでいるから、黙って頷いて室を出て、表階子の方へ跫音がして、それぎり忙しい夕暮の蝉の声。どこかの室で、新聞を朗読するのが聞えたが、ものの五分間経ったのではなかった。二階もまだ下り切るまいと思うのに、看護婦が、ばたばた忙《せわ》しく引返して、発奮《はずみ》に突込むように
顔
を出して、
3714/3954
3715/3954
3716/3954
[Index]